【シュール】って何??

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「シュール」は、フランス語の「シュルレアリスム(surréalisme)」を略した和製カタカナ語です。意味としては:

  • 超現実的な様子や不条理な様子
  • 奇抜で独創的な様子
  • 現実離れした、非日常的な様子
  • 理解し難い、難解な表現

「シュール」の本来の意味は「現実を超えた」状態を指し、現実世界の常識や論理を超えた、夢や幻想を思わせるような不思議なアイデアや状況を表します。

「シュール」の由来は、1920年代にフランスで起こった前衛芸術運動「シュルレアリスム(surréalisme)」にあります。この芸術運動は:

  • アンドレ・ブルトンを中心として始まり、1924年に「シュルレアリスム宣言」が発表された
  • 「超現実主義」と日本語で訳される
  • 夢や無意識の世界を芸術表現の源泉とし、現実世界の制約から解放された表現を追求
  • 代表的な芸術家にサルバドール・ダリやルネ・マグリットなどがいる

日本では1930年代以降に受容され、「現実離れした奇抜で幻想的な芸術」という日本独自の「シュール」という概念が生まれました。

1. 芸術や表現に対して

「溶けた時計がグニャグニャにゆがんでいるこの絵はとてもシュールだね」
「ブラックジョークが多くて、かなりシュールな映画だったね」
「彼らのコントはシュールすぎて、私には理解し難い」

2. シチュエーションに対して

「ハロウィーンの仮装をして礼儀正しく電車に乗っている人たちの姿は、とてもシュールな光景だ」
「あのふたりは全く話がかみ合っていないのにニコニコしてとても楽しそうにしている。ある意味シュールだ」
「ネコがサラリーマンなんて、なかなかシュールなゆるキャラだね」

3. 人に対して

「彼はときどき、植物に話しかけるなどシュールな行動をする」
「あなたのその常識にとらわれない考え方はシュールだね」
「彼女は奇抜でシュールなセンスの持ち主だけど、個性があって魅力的だ」

「シュールだね」と言われたとき

「シュールだね」と言われた場合、文脈や相手の表情によって意味合いが変わります:

  • 真面目な表情で言われた場合は、「独創的で面白い」という褒め言葉
  • あざ笑うような表情で言われた場合は、「奇妙で理解できない」という否定的な意味

対義語

  1. ありきたりな – 珍しくなく、ありふれている様子
  2. 平凡な – これといって優れた特色もなく、ごく当たり前の様子
  3. 常識的な – 極めて普通である様子や当たり前のこと
  4. 現実的な – 実際に存在する現実に即した様子

類語

  1. 不条理 – 物事の筋道が立たない、道理に合わない様子
  2. 現実離れ – 現実に即していない、世俗的な価値観や感覚からかけ離れている様子
  3. 奇抜 – 極めて風変わりで人の意表を突くこと
  4. カオス – 混沌として無秩序な状態(ただし微妙にニュアンスが異なる)
  5. 異様(いよう) – 普通とは異なっていて奇妙な様子

「シュール」と「カオス」は似た文脈で使われることがありますが、意味が異なります:

  • シュール:「奇抜で現実離れしているから理解し難い」という場合に使用
  • カオス:ギリシャ語の「khaos」が語源で、「混沌として無秩序な状態で理解し難い」という場合に使用

基本表現

  • surreal(サリアル) – 「シュール」の元となった英単語
  • 例:That movie was surreal. (あの映画はシュールだった)
  • 例:The scenery looked so surreal that it felt like walking in a dream. (その景色は非常にシュールで、まるで夢の中を歩いているようだった)

関連表現

  1. bizarre(ビザール) – 奇妙な、風変わりな
  2. eerie(イーリー) – 不気味な、奇妙で恐ろしい
  3. uncanny(アンキャニー) – 不思議な、異様な
  4. unreal – 非現実的な
  5. really out there – 奇妙な、非現実的な(口語表現)
  6. not making any sense – 理解できない、道理に合わない(口語表現)
  7. completely out of this world – 完全に現実離れした(口語表現)
  8. absurd – 馬鹿げた、不条理な

「シュール」の語源となったシュルレアリスムは20世紀最大の芸術運動の一つで、以下のような特徴があります:

  • 無意識や夢の世界を表現する芸術運動
  • 現実世界の常識や論理を超えた作品を生み出す
  • 代表的な画家としてサルバドール・ダリが有名
  • 特に「記憶の固執」(溶けた時計の絵)が世界的に知られている

シュルレアリスムの「sur(超)」+「real(現実)」という語源からも分かるように、「現実を超えた」表現を追求する芸術運動であり、そこから「シュール」という言葉が生まれました。

「シュール」は日本語では「超現実的」「現実離れした」「奇抜」といった意味で使われる言葉で、元々は20世紀の芸術運動「シュルレアリスム」に由来します。日常会話では、理解しにくい状況や独特なセンスを持つものを表現する際によく使われます。英語では「surreal」が最も近い表現ですが、文脈によって「bizarre」「eerie」「uncanny」などの類義語も使われます。

使い方としては、芸術作品の評価から日常の変わった状況まで、幅広い場面で使うことができる便利な言葉ですが、相手に対して使う場合は肯定的なニュアンスか否定的なニュアンスかを明確にするよう注意が必要です。

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