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「不撓不屈」の意味
「不撓不屈」(ふとうふくつ)とは、強い意志を持ち、どんな困難や苦労に遭遇しても決してくじけないという意味を持つ四字熟語です。「不撓」は”たわまない”、「不屈」は”屈しない”という意味です。強い精神力を持ち、困難に立ち向かう姿勢を表現しています。
「不撓不屈」の由来と歴史的背景
「不撓不屈」の由来は、中国の正史「二十五史」のひとつである『漢書』に遡ります。具体的には『漢書』の「叙伝第七十下」に登場する記述がその元となっています。
原文では「楽昌篤實、不橈不詘、遘閔既多、是用廢黜」と記されており、ここでの「橈(撓)」と「詘(屈)」は現代の「撓」と「屈」の異体字です。この文は楽昌侯という王商という人物が「誠実で、決してくじけず、意志を曲げることがない」人物であったと評価している部分です。
この記述から、「不撓不屈」はどんな困難に直面しても諦めず、強い意志で立ち向かう精神を表す言葉として使われるようになりました。
「不撓不屈」の現代における使い方と例文
現代における使い方
現代では、「不撓不屈」は以下のような場面で使われます
- スポーツ選手の座右の銘:多くのアスリートが自らの信条として「不撓不屈の精神」を掲げています。
第65代横綱貴乃花は、大関昇進と横綱昇進の際に「不撓不屈」の精神を口上しました。 - ビジネスシーンでの目標設定:困難な事業や目標に取り組む際の心構えとして用いられます。
- 演説や激励の言葉:チームや組織を鼓舞する際に、強い意志を持って困難に立ち向かうよう促す表現として使われます。
- 自己啓発やモチベーション向上:自分自身を奮い立たせる言葉として使われることもあります。
例文
- 「彼はどんな非難にも負けず、どんな困難なことにもひるまず、不撓不屈の精神で自分の仕事をやりとげた」
- 「近ごろは、難関にぶつかると、すぐにあきらめてしまう人が多いが、物事を成就させるためには不撓不屈の精神が必要です」
- 「不撓不屈の努力こそ、能よく、最後の勝利を占める」(舟橋聖一・花の生涯)
- 「彼の強みは不撓不屈であることだ」
- 「この歴史上の人物は、不撓不屈の精神の持ち主だったと伝えられている」
「不撓不屈」の類語と対義語
類語
「不撓不屈」と似た意味を持つ言葉には以下のようなものがあります
- 百折不撓(ひゃくせつふとう):何度失敗しても挫けない志を強調
- 堅忍不抜(けんにんふばつ):強い意志を持ち続けること
- 七転八起(しちてんはっき):何度倒れても立ち上がること
- 不屈不撓(ふくつふとう):「不撓不屈」の語順を変えた表現
- 独立不撓(どくりつふとう):自立した姿勢で揺るがないこと
対義語
「不撓不屈」の対義語としては、以下のような言葉が挙げられます
- 付和雷同(ふわらいどう):自分の意志を持たず、他人に従うこと
- 優柔不断(ゆうじゅうふだん):決断力がなく、迷いが多いこと
- 軽挙妄動(けいきょもうどう):よく考えずに軽率に行動すること
「不撓不屈」の英語表現
「不撓不屈」に相当する英語表現には、以下のようなものがあります
- Indomitable:不屈の、征服できない
- Unyielding:屈しない、譲らない
- “She showed unyielding determination.”(彼女は揺るぎない決意を示した)
- Indefatigable:疲れを知らない、たゆまない
- “His indefatigable pursuit of excellence.”(彼の卓越性への不撓不屈の追求)
- Unflagging:衰えない、たゆまない
- “She demonstrated unflagging perseverance.”(彼女は不撓不屈の忍耐力を示した)
- Never give up:カジュアルな表現として「決してあきらめない」
- Stand firm in the face of adversity:逆境に直面しても揺るがない
「不撓不屈」は、現代社会においても価値のある精神的態度を表す言葉として、座右の銘や生き方の指針として多くの人に支持されています。強い意志と忍耐力の象徴として、多くの場面で使われ続けている重要な四字熟語です。