「跳梁跋扈」の意味
「跳梁跋扈」(ちょうりょうばっこ)とは、悪者がはびこり、勝手気ままに振る舞うことを意味します。現代では、悪人や好ましくない存在が権力や勢力を持ち、自分の思うままに行動している状態を表現するときに使われます。
「跳梁」は「踊り跳ね回ること」を意味し、「跋扈」は「わがもの顔でのさばりはびこること」を意味します。この二つの言葉が組み合わさり、「悪者などが勢力を振るい、好き勝手に振る舞う様子」を表現しています。
「跳梁跋扈」の由来と歴史的背景
この四字熟語は、中国の後漢時代の故事に由来します。後漢の時代、順帝(じゅんてい)の后である粱后(りょうこう)の同胞に梁冀(りょうき)という政治家がいました。
梁冀は権力を持ち、好き勝手に振る舞っていたため、「まるで魚が籠から跳ね上がっているようだ」と表現されました。彼の振る舞いから「梁冀跋扈(りょうきばっこ)」という言葉が生まれ、後に「跳梁跋扈」という四字熟語になりました。
「跋扈」の「跋」は「踏みにじる」「踏み越える」という意味、「扈」は魚を捕る竹製の籠を表しています。つまり、魚が仕掛けを超えて飛び跳ねるという様子から転じて、「我が物顔に振る舞う」という意味になりました。
「跳梁跋扈」の現代における使い方と例文
現代では、政治、社会問題、犯罪など、様々な文脈で好ましくない存在が勢力を振るっている様子を表現するときに使います。
例文
- 「最近は、怪しげな儲け話をよく聞く。以前より詐欺の跳梁跋扈が著しい」
- 「その繁華街は、夜になると不良たちが跳梁跋扈しているため治安が悪い」
- 「SNSでは匿名の悪質なアカウントが跳梁跋扈している」
- 「政界にも、経済界にも、あやしげな人間が跳梁跋扈している」
- 「その街ではマフィアが跳梁跋扈していた」
「跳梁跋扈」の対義語
「跳梁跋扈」の対義語として直接的なものはありませんが、文脈によって以下のような言葉が対義的な意味で使われることがあります:
- 「勧善懲悪」(かんぜんちょうあく):善を勧め、悪を懲らしめること
- 「法治秩序」(ほうちちつじょ):法律によって社会の秩序が保たれている状態
- 「平穏無事」(へいおんぶじ):穏やかで事件や騒ぎがない状態
「跳梁跋扈」の英語表現
「跳梁跋扈」に相当する英語表現としては、以下のようなものがあります:
- rampant – 「はびこる」「蔓延する」の意
例:Corruption is rampant in that organization.
(その組織では汚職が跳梁跋扈している) - run wild/amok – 「暴れ回る」「手に負えなくなる」の意
例:Criminals are running wild in that district.
(その地区では犯罪者が跳梁跋扈している) - overbearing – 「横暴な」「威圧的な」の意
- tyrannical – 「専制的な」「圧制的な」の意
- domination – 「支配」「優勢」の意
これらの英語表現は文脈によって使い分けられますが、特に「rampant」は「跳梁跋扈」の意味合いをよく表す表現として頻繁に使われています。「夜に跳梁跋扈するならず者」は英語では “scoundrels who run wild during the night” と表現できます。
この熟語は古代中国の故事に由来しながらも、現代社会でも様々な場面で使われる表現です。