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「魑魅魍魎」(ちみもうりょう)の意味
魑魅魍魎(ちみもうりょう) は、山や川に住む様々な化け物や妖怪の総称を指す四字熟語です。また、比喩的に私欲のために悪だくみをする人々を表現する際にも使われます。
この言葉は4つの漢字から構成されており、それぞれが異なる種類の妖怪を意味します:
- 魑(ち):山の神、虎の形をした山神
- 魅(み):山林の精気から生じる人面鬼身の怪物、猪頭人形の沢神
- 魍(もう):水の神、川の化け物
- 魎(りょう):水の神、川の化け物
「魑魅魍魎」(ちみもうりょう)の由来と歴史的背景
魑魅魍魎の起源は古代中国にあります。歴史的文献における記録をたどると:
古代中国の文献
- 『左伝』(春秋左氏伝): 「魑魅は山川の異気の生む所にして人に害をなすもの」と記されています
- 『国語』: 「木石の怪を夔魑魅魍魎という」との記述があります
- 『史記』(五帝本紀): 魑は虎の形をした山神、魅は猪頭人形の沢神とされています
日本への伝来
平安時代中期の辞書『和名類聚抄』にもすでに記載されており、古くから日本の文化に根付いていたことがわかります
「魑魅魍魎」(ちみもうりょう)の現代における使い方と例文
現代における使い方
現代では主に2つの意味で使用されています:
1. 文字通りの意味
様々な妖怪や化け物を指す際に使用
- 「最近は魑魅魍魎と戦うアニメが人気だ」
2. 比喩的な意味
私欲や悪だくみをする人々、悪質な人物を指す際に使用
- 「選挙戦が近づくと、魑魅魍魎が蔓延る政界の現実が浮き彫りになる」
- 「この業界は魑魅魍魎の世界だ。生き残るためには、相当な覚悟が必要だ」
例文
- 文学的用法: 「一体、悪魔を払う趣意だと云うが、どうやら夜陰のこの業体は、魑魅魍魎の類を、呼出し招き寄せるに髣髴として、実は、希有に、怪しく不気味なものである」
- 現代的用法: 「真夜中の山奥の闇は、魑魅魍魎のばっこするところです」
- 政治的比喩: 「政権争いには常に魑魅魍魎のたぐいがうごめいています」
- 「魑魅魍魎が跋扈する」: 悪い人物が思うままにふるまい、はびこる状況を表現
「魑魅魍魎」(ちみもうりょう)の類語と対義語
類語
- 百鬼夜行(ひゃっきやこう): 様々な化け物が夜中に列をなして歩き回ること
- 妖怪変化(ようかいへんげ): 化け物の総称
- 異類異形(いるいいぎょう): 人間とは異なる奇怪な姿形のもの
- 暗躍(あんやく): 陰で悪事を働くこと
- 伏魔殿(ふくまでん): 悪人が集まる場所
対義語
厳密な対義語は存在しませんが、強いて表現するなら:
- 善良な市民
- 人間
- 善人
- 正義の味方
「魑魅魍魎」(ちみもうりょう)の英語表現
魑魅魍魎を英語で表現する場合、以下のような表現が使われます:
- Evil spirits of mountains and rivers – 山や川の邪悪な精霊
- Monsters and demons – 怪物と悪魔
- Various evil spirits – 様々な悪霊
- Mythical creatures – 伝説の生物
- Apparitions – 幽霊や幻影
例文:
- “The forest is said to be haunted by evil spirits and monsters”
- “Various demons and spirits lurk in the mountains”
魑魅魍魎は日本の文学や芸術において重要な象徴として扱われ、物語の中で障害や試練、主人公の内面の葛藤を表現する際に用いられることが多いです。現代でも、アニメやゲーム、文学作品で頻繁に登場し、日本文化の重要な要素として継承されています。