【水魚の交わり】って何??

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水魚の交わり」の意味

「水魚の交わり」(すいぎょのまじわり)とは、水と魚との切り離せない関係のように、非常に親密な交友関係を表す故事成語です。魚は水がなければ生きていけないことから、お互いにとって欠かせない存在であること、つまり切っても切れない深い絆で結ばれた関係を意味します。

水魚の交わり」の由来と歴史的背景

この言葉の由来は、中国の歴史書『三国志』の「蜀志・諸葛亮伝」に記されたエピソードにあります。三国時代、蜀漢の初代皇帝である劉備(りゅうび)は、優秀な人物であった諸葛亮(しょかつりょう、諸葛孔明)を軍師として迎え入れ、非常に親しい間柄になりました。

しかし、古くから劉備に仕えていた関羽や張飛などの武将たちは、二人の親密な関係に嫉妬し快く思わなかったといいます。そこで劉備は彼らに対して「私にとって、諸葛亮がいることは、魚にとっての水のようなものなのだ」(原文:「孤之有孔明 猶魚之水也」)と説明しました。これほど強い表現をされては、臣下たちも納得せざるを得なかったというエピソードが語源となっています。

のちに娯楽小説として書かれた『三国志演義』の中でもこのエピソードが採り上げられ、広く知られるようになりました。

水魚の交わり」の現代における使い方と例文

「水魚の交わり」は漢字で「水魚之交」とも表記され、この場合「すいぎょのまじわり」のほか「すいぎょのこう」とも読まれます。また、漢文では「如魚得水」(うおのみずをえたるがごとし)とも表現されます。

現代における使い方

元々は主従関係を表す言葉でしたが、現代では友人同士や夫婦間など、さまざまな親密な人間関係を表す言葉として広く使われています。ビジネスシーンでのパートナー関係などにも適用されます。

例文

  1. 「彼とは長年試合で1位を争うライバルだったが、今では実力を認め合い、水魚の交わりと呼べる関係になっている。」
  2. 「夫は結婚式のスピーチで、『水魚の交わりのような夫婦になりたい』と話していた。」
  3. 「共同プロジェクトを通して、両社はまるで水魚の交わりのような信頼関係で結ばれた。」
  4. 「同じ幼稚園・小学校にかよっていたAくんとは、かれこれ30年以上も水魚の交わりが続いています。」
  5. 「弟夫婦はどんなに苦しいときも助け合って暮らしており、水魚の交わりという言葉がぴったりなカップルです。」

水魚の交わり」の類語と対義語

類語

「水魚の交わり」と同様に親密な関係を表す類義語として、以下のようなものがあります:

  1. 管鮑の交わり(かんぽうのまじわり):互いによく理解し合っていて、信頼の厚い友情
  2. 刎頸の交わり(ふんけいのまじわり):首をはねられても悔いがないほど、固い友情で結ばれた仲
  3. 金蘭の契り(きんらんのちぎり):非常に親密で、固く結ばれた友人関係
  4. 莫逆の友(ばくぎゃくのとも):気持ちがぴったり合った親密な友
  5. 雷陳膠漆(らいちんこうしつ):固い友情で結ばれていること

対義語

「水魚の交わり」の対義語としては、以下のようなものがあります:

  1. 犬猿の仲(けんえんのなか):犬と猿のように仲が悪い関係
  2. 水と油:混ざり合わず、相容れない関係
  3. 不俱戴天(ふぐたいてん):相手と同じ空の下で生きることができないほど憎む関係
  4. 孫龐の隙(そんほうのすき):仲が悪く、お互いに対立する関係

水魚の交わり」の英語表現

「水魚の交わり」を英語で表現する場合、以下のような表現が用いられます:

  1. close friendship(親密な友情)
  2. intimate friendship(親密な関係)
  3. hand and glove(手と手袋のように切り離せない関係)
  4. As a fish takes to water(魚が水に入るように自然な関係)
  5. Like a duck to water(アヒルが水に入るように自然な関係)
  6. A Damon and Pythias friendship(ダモンとピティアスの仲 – ギリシア神話に登場する固い友情で結ばれた二人にちなんだ表現)

例文:

  • “They are hand and glove with each other.”(彼らは水魚の交わりの関係です)
  • “We should constitute a close friendship.”(私たちは水魚の交わりをなすべきです)

「水魚の交わり」は、親密な人間関係を表す美しい表現として、今日でも日本語の中で生き続けています。古代中国の歴史的エピソードに由来しながらも、現代社会のさまざまな関係性を表現するのに適した言葉として、その価値は色あせていません。

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